とある休日。
同僚の先生のお宅へ、お邪魔した私。
ドアを開けてすぐ、衝撃が全身を貫きました。
いぬ・・・・・
犬・・・・・・
イヌ・・・・・
しかもゴールデンレトリーバー・・・・・
WOW!
何を隠そう、わたくし、幼少時代の苦い経験から、犬に触れない年月を送っておりました。
あれはまだ、私が世の中の酸いも甘いも知らず、
お山の中でハイジの如くのんびりと暮らしていた、小学校2年生の時のできごとです。
私には、3つ離れた兄がいます。
言っておきますが、私と兄は、100歩譲らなくても、誰がどう見ても、仲良しです!
その兄は、今でこそ都会に暮らし、若干かっこつけてる感はあるにしても、
周りのことを考え、協調性が増してきた、「OTONA」になりました。
が、しかし。
かれこれ15年前……彼は、単なるいたずらっ子でした。いたずらっ子、世に憚るです。
そんな兄のクラスメイトの女の子が、近所に住んでいました。
その子は犬を飼っていました。
名前は、チビ。
ん?チョロだったかな。
チロ・・・・・だったような気もします。
とにかく、「チ」がつく犬です。
お山に暮らす私にとって、野生の猿・熊・カモシカは、多少ドキドキするものの、
さほど珍しいものではありませんでした。
しかし、犬となると話は別です。
野生の犬など、お山にはあまりいません。
捨て犬など、もってのほかです。
お山には、そんな人間いません!涙
ですから、兄のクラスメイトが飼っている犬が、珍しかったのです・・・・・・。
夕方、学校からの帰り道、その犬に会うのが楽しみでした。
しかし、やはり一人では触れないため、いつも遠くから見ているだけでした。
健気な女の子でしたね。
しかし、いつしかそのチビだか、チロだか、チョロだかが、
私に対して、敵意をむき出しにし始めました。
何の心当たりもありませんでしたが、とにかく吠えまくられました。
しかし何と言っても、遠くから見ているだけ。
特に何の問題もありませんでした。
そんなある日。
兄のクラスメイトが、なんと!
こともあろうに、リードを外したまま、その犬を外に出したのです。
何も知らない私は、いつもの帰宅ルートを、マヌケな顔して歩いていました。
すると・・・・・・
ワンワンワンワン
えっ・・・・・?
振り向くと、
猛ダッシュでチョロ(もはやチョロで決定。)が追いかけてくるではありませんか!
事態を把握しきれるような、優秀な脳みそがなかったためか、
私の筋肉は運動を停止し、その場に硬直してしまいました。
そして、気づけば、その日来ていた上着の右手首の部分が破れていたのです・・・・・涙
あとで分かったことですが。
いたずらっ子の兄は、チョロに毎日、石を投げていたそうです。
そして、怒りを日々募らせていったチョロ。
その怒りの矛先は、私に向けられたのです。
兄と同じ家に住んでいて、同じ匂いのする、妹に・・・・・・・・・!!
それ以来、犬には触れなくなりました。
何度も言いますが、私と兄は、100歩譲らなくても、誰がどう見ても、仲良しです!
「おにーちゃん」と呼んだことはありませんが。
兄というより、むしろ、よき友です。
さて。とある休日の話です。
同僚の先生のお宅で発見した、1歳にも満たないゴールデンレトリーバー。
激しくジャンプし、飛びついてくる、元気な犬。
しかし、先生に気を遣わせてはいけない。
そう思った私は、先生がお子さんとお話をされている15分間、
犬と打ち解けようと、必死にがんばりました。
15分の格闘の末、私とケンジは、よき友になりました。